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※ヒロインは呉の末姫(連載設定)、本編・その他短編とは全くの別物。
流れ的にはお題陸遜夢「心に響く」の未来IFバージョン。
目覚めた想い
「…二喬?」
「…ああ。喬家ってとこの美人姉妹らしい。お前も知ってるだろ?」
親友の口から突然出た言葉に、周瑜は眉を上げて彼の顔を見返した。
「…それが何か」
「董卓に捕まっちまったらしくてよ…助けてやれねぇかって、親父が」
「……」
周瑜は珍しく言葉に詰まった様子で暫し黙り込んだ。
孫堅の命ならばどんなことにも従うが、何故か今回は気が乗らない―――というか、自分でも解らない嫌な予感がする。
何か、妙なことが起こりそうな予感。
「…なぁ周瑜、良いだろ?」
別に特に異論はないが。
有名な豪族である喬氏と恩を結べば、何か役に立つこともあろう。
至極軍師らしい思考の自分とは裏腹に、孫策は持ち前の人の良さで単純に助けてやろうと思っているようだ。
「…ああ、まぁ」
どことなく言葉を濁す周瑜を訝しむでもなく、孫策は豪快に笑って周瑜の背を叩く。
「決まりだな!暴れてやろうぜ~」
君の目的は半分以上それだろう、と突っ込みたくなるのもいつものことだが、周瑜は何処か晴れぬ顔をしたまま孫策の前を辞した。
「…公瑾兄様?」
孫策の部屋を出、廊下を歩いていた周瑜に背後から声が掛かった。
鈴を転がすような音声。
周瑜は先程からの微妙な不快感を軽くするその声に、ふと口許を緩めた。
「響冴」
立ち止まって声の主を見る。華奢な躯の可愛らしい少女。
周瑜にとって最も大切な存在―――最愛の妹、で。
名は孫響冴、周瑜の仕える孫家の末姫だった。
勿論義妹なのだが、血の繋がりを越えて周瑜はこの少女を特に大切に思っている。
まるで本当の、兄妹にしか見えないくらいに。
「…公瑾兄様、戦に行くんですか…?」
響冴は周瑜の顔を見て、僅かに不安そうな色を浮かべた表情でそう尋ねてきた。
周瑜も少し表情を引き締め、労るように響冴の美しい髪を撫でた。
「…誰かに聞いたのか?」
「公瑾兄様のお顔を見れば解ります…」
本人も気付かない微妙な表情の硬さを読み取る響冴に周瑜は苦笑し―――目線を響冴と同じ高さに合わせ。
「…大丈夫だ。さほど大がかりなものではない」
「…本当?」
「ああ」
良かった、と控えめに安心した表情で響冴が笑う。
控えめに…戦がどういうものか心得ている者は、そう明け透けには笑えないだろうが。
「公瑾兄様」
―――――――――っ。
不意に周瑜の名を呼んだ響冴に、周瑜は何故か胸騒ぎを覚えて眉を僅かに上げた。
この感じは何か―――
答えを見付けてはいけない気がして、周瑜は響冴から手を離して笑顔を作る。
「響冴、私が戻るまで…」
「…兄様も、気を付けて下さいね」
戦に行けない自分だけれど、ちゃんと待っているから。
心の中でそう言って周瑜を見送る響冴の胸も、何処か晴れない気持ちで溢れていた。
状況は、完璧。
二人は無事助け出したし、董卓軍の兵士達も自分達を探し出すことを諦め始めたようだった。
油断はならないが、後は撤退するのみ。
こんな簡単な戦なのに、何故この胸騒ぎは収まらぬのか。
周瑜は救出した姉妹のことも禄に見ず、ただその秀麗な顔を顰めていた。
そして、城に帰り着き。
一人で居た所で孫堅から告げられた言葉に、周瑜は更に眉を寄せることとなった。
―――策と、それぞれかの姉妹を一人ずつ娶らぬか
「殿…それは」
誰か心に決めた相手が居るなら別だが、と続ける孫堅に、周瑜は内心戸惑う。
想いを寄せる相手など―――居はしないが。
軍師である自分にとっては、言い方は悪くても婚姻とは政略の一つであり。
間に個人の感情を挟もうとは、少なくとも自分は思っていない…
筈、なのに。
止まらない思考に周瑜は自分が理解出来なかった。
それでも。
「…仰せのままに、殿」
「周瑜、嫌なら俺は構わんぞ」
「まさか嫌だなどと」
「…そうか?」
孫堅はそんな周瑜をやや苦い表情で見ていたが―――何処か彼が無理をしているように見えたので―――苦笑し、周瑜の肩にぽんと手を置いてから背を向けた。
「大切な話だ。返事はまた今度聞く…よく考えておいてくれ」
困惑する周瑜を残して、孫堅はその場を去った。
笑い話のようだが―――考えたこともなかった。
自分が誰かと結婚する、などと。
仕事の延長のように女人と付き合ったことは合っても、誰かを恋い慕うなどという感情を持った覚えなど無いに等しかった。
政略結婚などという話も、自分とは関係なく―――自分が他人にさせることは有れども―――感じていた。
だから、別に相手など関係ない筈であるし。
相手の女性は…それほどじっくりは見なかったが、明るくて美しい少女だったと思う。
何故孫堅の言葉に躊躇する自分が居るのか…
「よう、周瑜」
「…孫策か」
一人考えを廻らせていた周瑜の部屋の扉を叩く音がした。
入ってきたのはやはり親友で。
「…親父に聞いたか?話」
「…ああ」
「…お前、正直にどう思う?」
「………」
珍しく真剣な孫策の表情に、周瑜はどう言葉を返したものか解らずに言葉に詰まる。
「…殿の命とあらば、頷くのみだろう」
「そんな事聞いてんじゃねぇ。お前の気持ちを聞いてんだよ!」
飽くまでも事務的な返事を返す周瑜に、焦れたように孫策は言葉を荒げた。
―――そう言う問題ではない、と言いたい。
意味は正反対なれど、二人は奇しくも同じ台詞を考えた。
私の気持ちがどうこうという問題ではない
親父の命令がどうとかいう問題じゃねぇ
そんな互いの感情を読み取ったのか、埒のあかなさそうな会話に孫策が溜息を漏らす。
「…よく考えろよ周瑜。人間の感情は馬鹿にしたもんじゃねぇぜ」
「…孫策?」
「よく、考えろ…失う前にな」
真っ直ぐ周瑜の目を見て孫策は言う。
「…お前、響冴が」
「…響冴、が?」
何故、響冴、が。
孫策は口を噤み、それきり黙り込んでしまった。
周瑜は孫堅、孫策と続くそれぞれの言葉を解せないまま、もやもやとした気持ちを抱えていた。
孫策と周瑜が戦から帰還した翌日、宮中は孫策と周瑜の婚姻話で持ちきりだった。
何処から漏れたのかは解らないが、話に尾ひれ背びれが付いて何が事実か解らない。
そんな噂の真偽を確かめようと、陸遜は師である呂蒙を呼び止めた。
「…それは本当ですか、呂蒙殿…」
「ああ。孫権様から直接聞いた話だ…若と周瑜殿が、と」
珍しく動揺している陸遜に呂蒙はどうしたのかと尋ねようとした…が。
「陸遜?」
「―――っ失礼します」
陸遜は思い詰めた様な表情でもと来た道を走って行ってしまった。
「…結婚?策兄様…公瑾兄様、が?」
「…ええ、そうらしいわ」
響冴は姉である孫尚香から聞かされた突然の知らせに驚いた。
響冴も孫策と周瑜が二喬という姉妹を救出するために戦に行った事は知っている。
結ばれるのなら。本当なら…それはとても目出度い事であり、喜ぶべき事である。
―――おめでとうございます、と。
言うべきであり。
「響冴…?」
「…姉様?何か…」
なのに。
素直にそう思えないのは何故なのか。
戸惑う胸中を見透かしたように、尚香が心配げに響冴の顔を覗き込む。
「響冴…貴女、大丈夫?」
「大丈夫、とは…」
「…だって、周瑜は」
尚香は俯いて言葉を濁す。
周瑜―――公瑾兄様。
本当はその名前に息が詰まりそうになった。
それは孫策の場合とは違う感覚で…「兄」が結婚してしまう事が寂しいのではなく。
―――気付いていた。本当は自分の気持ちに…ずっと。
「…寂しくても」
「…響冴?」
「…お祝いするのが、私の役目です」
『妹』として。
『兄』の慶事を祝わなくてはいけない。
尚香はずっと響冴が周瑜に寄せる…想いを知っていた。
きっと本人が気が付くよりも前から―――ずっと。
それは一人の男として…
「…そんなの駄目よ、響冴!」
貴女は。
貴女は好きなんでしょ、周瑜のことが。
それでも、響冴は僅かに寂しげに俯き。
震える声を抑えるように言った。
「だって…公瑾兄様は私のものじゃない…!」
私だけの、大切なひとではなく。
何時かこうなるのは当然の定めだったのだ。
響冴の瞳には大粒の涙が滲んでいた。
響冴と尚香は、尚香が駆け込んで来た、開いたままの扉の外にもう一人青年が立っていた事に気付いていなかった。
彼の目は真っ直ぐ、何処か悲しげに響冴を見詰め。
「響冴、様…」
陸遜は声にならない囁きのようにその名を漏らす。
周瑜が婚約するという話を聞いて、自然と足が此方に向かっていた。
響冴の事が気になって。
きっと悲しみを、寂しさを堪えていると思ったから。
支えが必要かもしれないと思ったから。
でも。
今彼女と話すべきなのは自分ではない。
―――公瑾兄様は私のものじゃない
その言葉に込められた響冴の深い感情が解るから。
―――やはり、貴女に必要なのは…
陸遜は響冴の部屋から離れて周瑜の部屋へと向かった。
決心したように顔を引き締め、陸遜は荘厳な造りの、上司の執務室の扉を叩く。
「…周都督」
「…どうした?陸遜」
周瑜は疲れの滲む顔を書簡から上げ陸遜に答えた。
「…少々、宜しいでしょうか?」
―――あの姫君をずっと恋い慕ってきた。
出来ればいつか想いを告げたいと思ったこともあった。
しかし、響冴にとっての中心はいつも彼…周瑜だった。
響冴の周瑜に対する想いが、本人もまだ気付いていなかった想いが、単純に兄を慕うものではないと気付いたのは何時だったか。
陸遜様、と呼んでくれる可愛らしい声が好きなのだ。
それ以上に―――公瑾兄様。そう呼ぶ声はいつも、甘くて。
悔しくない、訳ではない。
それでも、その名を呼ぶ幸せそうな響冴が好きなのだ。
周瑜を見ている響冴に、自分は想いを寄せたのだ。
「…姫様は」
その言葉に周瑜が僅かな反応を見せ―――それが見抜けない陸遜ではない。
「…響冴様は、泣いておられました」
唐突な陸遜の言葉に、周瑜は少々、瞳を見開き。
「…寂しい、と」
「…陸遜、」
「寂しくても…祝うのが役目だ、と」
言葉を制止し掛けた周瑜を無視して陸遜は話し続ける。
「貴方が『兄』だから…」
周瑜はその言葉に息を呑んだ。
妹、に。
響冴に、己の婚姻を祝って貰う―――?
長いようで短い沈黙が流れた。
「貴方に…都督にとって一番大切な人は、誰ですか?」
解っている筈だ。
「都督の、最も愛しい人は」
聡い貴方なら。
「その方への、本当の想いは」
だからこそ―――封じ込めたのだろう。
「…何か…間違われて、いらっしゃいませんか?」
「…陸遜…」
大切な人と言われて、失いたくない人と言われて
愛しいひと、と言われて。
思い浮かぶのは何時も、たった一人の少女の顔だった。
心の何処かでずっと解っていたのだ。
―――認められなくて、自ら封印していただけで。
妹、だと。強く思うことで気持ちを凍らせていた。
響冴が愛しかった。
よく変わる表情も小さな躯も優しい瞳も、その笑顔も。
それはもう家族愛ではなく…遠い昔に、一人の女性に向ける慕情に変わっていたのだ。
そして響冴が自分を、想う気持ちのなんたるか、も。
―――『寂しい』、と。
泣いておられました―――…
本当は知っていて。
「…響冴…」
その名を口に出すだけで震える胸。
もう、自分を誤魔化すことは出来なかった。
…そう、これで良い。貴方の呼んだ名前は正しい、都督。
陸遜は俯く周瑜に黙礼し、そのまま部屋を出た。
「―――姫様…響冴様」
願わくば、これでどうか貴女が…いつまでも、幸せに笑っていてくれるように。
陸遜の頬に一筋、温かい雫が流れた。
あの後、執務室を飛び出してまず孫堅のもとへ向かった。
暫し主と話をして―――その後、早足に廊下を歩いていた周瑜は、向こうから走って来た孫尚香とすれ違った。
軽く会釈をした周瑜に気付き、やや行き過ぎた孫尚香はわざわざ戻って来る。
「周瑜!」
「…どう、されました?尚香様」
怒っている―――…?
孫尚香は眉を上げてきっと周瑜を睨んできた。
「貴方、いい加減素直になりなさいよ!…大事なもの、無くしちゃうわよ」
「…尚香様」
語尾はだんだん弱くなり、悲しげな表情を浮かべ。
周瑜は孫尚香の言わんとする事を理解し、苦笑した。
―――己、以外。周りは皆気付いていたのか…
愚かな。
その自嘲の色を含んだ笑みに、孫尚香がはっと目を見張り。
「―――申し訳御座いませんでした」
その言葉に、再び怒って。
「解ってるならさっさと行って!」
今自分が出てきた扉を指差した。
周瑜は目で礼を告げて、その扉へ向かった。
周瑜はその扉の前に佇み、扉を軽く叩いた。
「…入って良いか、響冴?」
「…公瑾、兄様」
かちゃ、と扉が開く。
響冴は笑って周瑜を迎え入れた。
彼女の笑顔が何処かぎこちないことに周瑜の胸は痛んだ。
赤く、泣き腫らした目元。それを隠すように反らされる瞳。
自分が…傷付けた。
「…響冴」
周瑜の心境は知らず。
そんな、ぎこちない笑顔を更に深めて、響冴は周瑜を見上げる。
「…公瑾兄様、おめで」
「縁談は白紙に戻した」
「―――…?」
「自分の気持ちを偽ることが出来なかった」
『―――申し訳御座いませんが、殿…』
『縁談の事だろう?俺の方こそ済まんな』
『…殿?』
『解っていた。お前の気持ちも…響冴の想いも。…幸せに、してやって欲しい』
『―――は。…この、命に掛けてでも』
「…兄、様?」
「愛しいと思う者が居るのに、私は…」
しかし、周瑜は響冴の言葉を―――祝福を―――遮って。
一気に語った。
兄様は一体何を言っているのか。
解らない。
縁談を、白紙に…
…どうして?
自分の気持ち。
愛しいと想う者が―――
「―――っ!」
言葉の意味を解し。
大きな瞳を更に見開いて、自分を見詰めてくる少女。
「……そう、ですか」
響冴は辛うじて声を出した。
結婚、という結び―――社会的な、結びつきでなく。
周瑜の心を、奪う人が居る。
その事実は婚姻の話を聞かされた時よりも重く響冴の心に響いた。
抑えていた涙が再び溢れるのを、響冴は止める事が出来ない。
そんな響冴をじっと見詰めながら周瑜は思う。
初めて逢った時は、可愛らしい幼子だと思った。
ずっとずっと見守ってきたこの少女。
いつの間にか大きくなって―――優しく美しく成長して。
心を、奪われていた。
妹から想い人へ…
「…何故、泣く?」
その質問に、響冴はびくっ、と躯を震わせ。
同じように震える声色で言葉を絞り出す。
「…う、嬉しくて…」
「………」
「…公瑾兄様に、そんなに大切な方が出来たのが、…嬉しいから…」
「…響冴」
周瑜はそんな響冴を何の前触れもなく抱き締めた。
「…私は…お前が好きだ、響冴」
「―――…兄、さま?」
「妹としてではなく。愛しいと想うのは…お前だけなのだ、響冴」
あまりの展開に響冴は瞬きさえも忘れて固まっている。
彼女の頬を伝う涙の跡を優しくなぞって、周瑜は響冴の瞳を見詰めた。
「私はずっと逃げていた…妹である筈のお前を想ってしまう、この心から。それがお前を傷付けた。…済まぬ、響冴」
「…公瑾兄様…」
「…聞かせて欲しい…」
―――お前の本当の気持ちを。
「…私…私は…」
本当は思った―――行かないで…置いて行かないでと。
「…公瑾兄様が、他の女の人と…結婚するのは嫌です…。本当はずっとずっと好き…もう、兄様として見られない…っ」
堰を切ったように溢れる響冴の涙を、周瑜はただそっと拭う。
「…妹でいようと、思ったのに。…妹でも何でも―――どんな、立場でも良いから…傍に、居たいです…っ」
「…ありがとう、響冴」
周瑜は腕を緩めて響冴の頬をゆっくりと撫でた。
その優しい仕草に安心したのか、響冴の躯の緊張が幾らか解ける。
「響冴、もう一度言う…私が恋い焦がれるのはお前だ。お前だけだ」
じっと見詰められて、響冴の頬には僅かに朱が上っている。
そんな様子も可愛くて…愛しい。
「…お前を傷付けた、愚かな私だが…」
―――それでも、想ってくれるか?
「―――私…好き…公瑾兄様が好きです…」
「…響冴」
周瑜は微笑んで、ふと躯を屈めた。
すっ、と瞳を閉じた周瑜の行動を紛うことなく理解し、響冴も恐る恐る目を瞑る。
二つの影は静かに重なって―――互いに、溶けて。
「…に、いさま…っ」
「響冴…」
周瑜は飽きることなく何時までも響冴の唇を奪い続ける。
力が抜けて縋ってくる小さな躯を優しく、しかしより強く抱き締めて。
もう、絶対に離さぬ―――
どんな困難に逢っても、決して。
彼女を離さないと堅く心に誓いながら。
「響冴…愛している」
耳元で囁いた周瑜に、響冴は漸くはにかんだ笑みを見せた。
ずっとずっと大切なひと
これまでも、そしてこれからはきっと、今まで以上に
大好きなひとだから。
*
*
*
孫家末姫ヒロインのIF話でした。
本編の周瑜は飽く迄もヒロインを妹としてとても大切に想っているのですが、ふっとこんな話が浮かんだので。
「変わらぬ日常」の未来をイメージして作ったのですが、陸遜…。前回はほのぼの話だったのに御免なさい。
二喬ファンの方には申し訳ないです…。
周瑜で夢小説を書こうと思うとどうしても申し訳ない事になるんですが、私は周瑜が大好きなもので。
次は陸遜が報われる話も書きたいですね。
おまけ
苛々苛々―――
孫権は先程から響冴の部屋の扉に張り付いている兄と妹を不思議そうに見ていた。
随分と苛立っているようで、声も掛け辛い。
「ああもう、全然聞こえないわ!周瑜はちゃんとやってんのかしら!」
「あ~くそっ、響冴を泣かしたら例え周瑜でも許さねぇぜ!」
「…あ、兄上…」
分厚い扉を必死の形相で見詰める二人を現実に引き戻そうと、孫権は頑張る。
「しょ、尚香も…ほどほど…に…」
しかし、妹に睨まれて―――台詞は尻すぼみになっていった。
「兄様は黙ってて!」
「し、しかし…」
中で何が起こっているのかさっぱり解らない孫権は、困ってその場に立ちつくすしか無かったらしい。
*
*
*
おまけだけほのぼのに(…)
権ちゃんは後でびっくりするのでしょう。
ありがとうございました。ブラウザを閉じてお戻り下さい。